脳腸トレードオフと後遺症治療
これは「手のひら先生高麗手指鍼講座」に載せたものです。
一般の方には鍼灸師でも難しいかもしれませんが、鍼治療では未開拓ないし完成し得ないでいる、脳神経疾患分野への大きな飛躍可能性を見いだせたのではないか、そう思えるキッカケになった言葉を紹介致します。
脳腸トレードオフという言葉は、耳慣れないと思います。
人間の進化特に脳の肥大化と腸の長さとの関係を、表した言葉として使われています。
回虫博士として知られた元東京医科歯科大藤田紘一郎教授が、ご著書「脳はバカ腸はかしこい」の中で、ヒドラを例にこの関係性を説いた文章があります。
『ヒドラは餌がなくなると脳を作り出し歩いて新しい餌場に移動する。
新しい場所に来ると要らなくなった脳は、自分で食べてしまうのです。』、
これを脳腸トレードオフと呼びます。
人間の脳が肥大化するに従い、腸の長さがどんどん短くなって来たのは、腸の神経が脳神経に転換したと推測されているのです。
このことの意味を私は1年ほど考えていました。
思いついたのは脳神経に対応するツボが、胃の経絡小腸の経絡上に現れるのではないかということでした。
コロンブスの卵かコペルニクスなのか分かりませんが、突然の発想でした。
すると出てくるわ出て来るわという感じで、脳神経に対応するツボが見つかりました。
もちろん脳神経はディメンションに対応する様にしましたので、経絡上にそれらが重なることはありません。(ディメンション等の解説は上記のブロク等で解説しています)
腸と関係する経絡上で脳神経を刺激できるツボ、これと手のひら上の脳神経のツボを同時に刺激しました。
結果まず顕著だったのは排便でした。
回数が多くなりやがて理想的な便と回数に治まりました。
更に脳溢血後遺症で最後まで取れない凝りが、少しづつ緩和して来たのが実感できました。
動作や血圧も更に改善と良いことずくめでした。
これはすぐ新患で来られた、進行性核上麻痺の症状にも処方しました。
帰る時には付き添いの方が「声がはっきりしてきた」と仰っていました。
またまぶたが下がってきて目が開かなかったのが、徐々に開くようになっていました。
翌週に来られた時は、声もはっきりし目も前回に比べ遥かに開いていました。
自分とこの患者さんそれに妹のパーキンソン病にも処方してみて、結果これが脳神経疾患に効果的なことがわかりました。
まだ初めて3週目ぐらいなのですが、更に陰陽を考え陽側の甲のツボも決め治療をはじめました。
更に体の部分が動き始めていると感じています。
人間進化と鍼灸治療を考えると、まだまだ解明しなくてはならないものが出てきそうです。