脳卒中後遺症を治療する
私を含めて脳卒中後遺症治療を行っていますが、その治療法は簡単ではありません。
なぜなら理論も治療法も無いに等しいからです。
文献では発症して1ヶ月以内に鍼やお灸をすると、なんの後遺症も残らなかったという症例が載っています。
今の医療制度では救急搬送された場合、最低でも3週間は入院します。
リハビリ処置をすれば3ヶ月は退院できません。
そこに鍼灸の入り込む余地はありません。
さて手のひら先生スタイルの高麗手指鍼で、長期に渡り脳溢血の後遺症を治療したのは、私自身以外はありません。
自分自身を治療するのですから妥協はありません。
アイデアが湧けばすぐ実践です、結果が出なければまた次の手法を試します。
しかし既存の技術では後遺症は治せない、それほどの効果は望めないと考えています。
少しづつでも改善るのが分かっていても、患者さんはそれでは納得しないで、治療中断してしまいます。
そこが治療家として困ることです。
脳溢血の鍼治療なんて治療法が確立しているわけではないので、なおさら治療は困難になります。
患者さんの状態を見ながら且つ新しい方法を研究し模索しながら治療することになります。
新しい治療法といえども、研究し工夫する下地はあるわけです。
いかにしてツボの運用をするかに掛かっているのです。
説明は難しいのですが、私のホームページに説明しているように、手のひら先生スタイルは独自の発想のもとに構築されています。
同じツボに鍼を刺しているようで、実は狙っている効果は全く異なるというようにです。
特に手のひらの中には3層に重なってツボが表現できます。
したがって例えば胃のつぼにさしているつもりでも、実は脳の大事なツボ刺激をおこなっていることがあり、それが思いがけない効果を生み出すことがあるのです。
伝統的な鍼灸技術では決して現れれこない、それが高麗手指鍼でありそれを理解してはじめから治療ができるのが、手のひら先生スタイルになります。
さて脳溢血患者さんで痙性麻痺の患者さんがお二人来られています。
お一人は運動制限があるものの手足は動きます、お一人はかなりの制限があり片足はいわゆるぶんまわし運動をし、片手はかなり不自由です。
今回紹介する方は前者です。
運動命令を発する第1次運動野と呼ばれる、大脳皮質中央前回の刺激方法に工夫をしました。
これもツボは確定していたものの、刺激方法が足りなかったのに気が付き、改めて検証し実践したことで動きが変わりました。
やがて傷みがあり制限されていた腕の可動域も広がリました。
更にこの間にひょんなことから逆に患者さんに教えてもらったことでしたが、左右の脳半球を密接にしている脳梁の効果です。
これを刺激することが人間全体の身体と脳の活性化をもたらすことを知りました。
高麗手指鍼は身体を左右に分けて治療しているのですが、そのことの理解がまだ不十分であったことを知ったというわけです。
この方は毎週から隔週の治療になりました。
もうお一人の方も足のぶんまわしからまっすぐに足を伸ばせるようになりました。
手の動きも足ほどの改善はないものの、当初よりは遥かに巧緻運動ができるようになってきました。
2019年2月25日現在の報告です。