脳溢血治療法脳神経のどこを刺激すべきか方針が決まりました
2年ほど前に開発してあったMGOT はツボに何本鍼を刺せば、適正な刺激になるかを計測できるすぐれものです。
治療の中でどのように使えば最大の効果を出せるのか、少々考える時間が必要でした。
MGOTは今は8種類で使い分けています。
色分けは東京競馬場が近いので、1枠から8枠の色に習って分けています。
東洋医学では「陰極まれば陽となし、陽極まれば陰となる」という言葉があります。
極限まで行ってこれ以上無いところまで行き着くと、反対側に移ってしまうということです。
極右の思想が極まると極左になる、なんてことを学生運動の頃聞いたことがありました。
冷えが入って極限まで冷え切ってしまうと突然発熱する、これなどはこれを表現したことになると聞きました。
しかしこれが鍼治療の中で体験するとは思いませんでした。
MGOTでは患者さんの負担が少ないように、入江式フィンガーテストを使って診断します。
正しいか否かはOリングテストでも検証できます。
例えば5本刺せば良いと出たとします。
鍼を1本2本と増やしていき5本を刺したあと、Oリングテストで検証します。
Oリングテストの結果はクローズです。
実はこれには一工夫があります。
クローズになるには鍼は経絡に対し補瀉を考慮して刺すことになります。
そこに今1本鍼を加えたとします。すると指はオープンになるのです。
これはどういうことかというと、補瀉を考えなくてもそのツボの状態を良くしようとするなら、補瀉を考えなくてもその本数で治療すれば良いということを意味します。
脳溢血脳梗塞の後遺症治療では脳神経の関連箇所は、ツボにしても数箇所は出てきます。
そのツボのすべてを計測して鍼を刺すのは、なかなか難しいことになります。
そのすべてを治療したから良いかというと、鍼が増えて痛いだけで効果が出ないかもしれません。
治療というのは案外重要な場所、1箇所か2箇所のほうが効果を出せるのです。
私独自ですが治療箇所が多いと、脳のほうがわからなくなるとと考えるのです。
ではどこが問題箇所なのかといえば、第1次運動野の大脳皮質中心前回がそこに当たります。
以前NHKが脳卒中の特集番組を放送した時に、運動野からは電気信号が出て、動けというような命令がはじめは出ているそうです。
しかし長がいあいだ麻痺で腕も足も動かないと、その命令信号がだんだん発せられなくなって弱まってしまうそうです。
手のひらの中の運動野は以前書きましたが、ペンフィールドのホムンクルスでも分かるように、手のひらの中ではある幅をもったところに、4,5箇所のツボになって現れます。
そこに鍼を適宜刺すことで運動野から出される、命令信号が強化されるのです。
途中の状態についてはMGOTで特に状態が悪くなければ、脳の可塑成を考慮して無視しても良いのでは無いかと考えています。
自分の治療では患者さんに治療するようには行かないので、左右の運動野を補または瀉するだけになっています。
それだけでも効果が大きく出ています。
例えば左足に体重が大きく負荷がかかると、今まではよろけるようなバランスを崩していました。
この原因はおそらく長らくウォーキングや筋肉トレーニングをおこなっていないので、筋肉が衰えた結果このような状況になっていると考えていました。
ところが今まで書いてきたMGOTに以前に比べれば、何十倍かの鍼を刺してみるとその効果は飛躍的に変わりました。
例えば腕の可動域が大きく広がり、肩甲骨周りの凝りが減り、そして何より歩行時に左右の足が違和感なく、まっすぐに出せるようになりました。
前に書きましたがお一人のご婦人は、治療回数を減らして毎週から隔週の治療になり、あとは日々のリハビリに注力するように回復しました。
もうお一人は感覚が戻ってきており、足の運びも外から回すようにして前に出す、いわゆるぶんまわし運動から真直ぐ前に出せるようになりました。
つまり損傷を受けた部分の修復を中心にしなくても、、運動野を補強することが脳全体の修復が図れることだと思います。